再来一碗!「パラダイス・ネクスト」②

F:次のシーンではすでに牧野は捕まっていましたよね?

半野監督:そうです。あれは本当を言うとそこで説明もあって。「あんたの救世主だよ。」っていうセリフの後に島が酔っ払った牧野を背負って家に帰ってきて「悪いけどここにこいつを置いていいか?」ってガオに頼むシーンとかも本当は全部あるんですよ。でも全部やめたんです。これいきなり縛られてる方が面白いよね?って。

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F:それにこのシーンはパンフレットやチラシ、HPにも使われていますが、表情が本編と違いますよね?

半野監督:笑ってるでしょ?

F:はい!これは映画を見た人からすると泣けます。これはオフショットですよね?

半野監督:そうですね、オフです。実際にそんなシーンないですもんねぇ。

F:この写真を使うのはズルいです。

半野監督:ははははっ(笑)いやでも、まぁ、本当にこの2人って日本の役者でスターと言われる人じゃないですか?でも今回僕たちがやったことって、スターの俳優と会社的な映画を作るって事じゃなくて、すごく能力のある人たちで自主映画をやったって感じなんです。だからそういうバカな事も許されたっていう。
例えば2人で歩いてるシーンで、妻夫木君がグッと手すりを掴んで体を宙に浮かして「島さん!見て見て!」っていうシーンがあるんですけど、あれもアドリブなんです。あれもその前にOKテイク出てたんですよ。今回妻夫木君本当に優秀でほとんど1テイクだったんです。まぁ、なるべく1テイクでやろうって言ってたのもあるんですけど。それで時間もあったので「俺がもっと喜ぶ事なんかして。」って言ったら「めちゃくちゃ言うな・・・めちゃくちゃ言うな・・・。」って何度も言ってて(笑)それで撮ったのがあのシーンなんです。それで、帽子をポーンと投げて消えていくんですけど、カットってなった後に戻ってきて帽子をバーン!って投げて「こんなもん使うわけないだろ!」って本人は言ってるんですよ(笑)でもそっちの方がなんか面白いんですよ、生き生きしてて。だから僕はあのシーンの牧野が大好きなんです。

F:妻夫木さんも豊川さんもたくさんの作品に出ていますが、またちょっと違う雰囲気でしたよね?
若いっていうか?

半野監督:自由な感じだったでしょ?

 

<現実ではなくなっていく>

F:食事をしているシーンも多かったように感じましたが?

半野監督:そうですね。食べるって事は特に台湾っていう国においては、日々の暮らしから切り離せないっていうか、朝から外食しちゃう人たちですからね。だから自然と必要になってくるんです。でも後半は食事のシーンが無いんですよね。

F:そうですね、あの花連で牧野が食事しているシーンが最後ですね?

半野監督:だんだん後半に行くと何が現実か分からなくなってくるじゃないですか?実はこの映画、シャオエンが「チケットを買いに行ってくるね」って消えた以降って人が映んないんですよ、主人公たちしか。だからもういわゆる現実社会ではないっていうか、感覚が。それまでは人がやたら町中にいっぱいいるところから始まったりしてるんですけど、最終的には彼らしかいなくなってるんです。

F:だからですかね、何か後半は生きるという活力みたいなものが薄いように感じてしまうのは。

半野監督:だんだん精神世界的なね。そういう話では全然ないんですけど、そうなっていくというか、ちょっと色んな輪郭がぼけていくような感じがしますよね。

 

<ラストの船のシーン>

半野監督:それはまぁ、面白かったですね。僕は海外の仕事が長いのでそんなにビックリしなかったですけど、俳優さんたちは笑ってましたね。「聞いたことないよ、演出部が無い現場なんて。」って。

F:でもそういった環境だったから生まれた産物もありますよね?

半野監督:僕もそう思いますね。
あとね、ラストの船のシーンがあるじゃないですか?あれは本当はもう1シーンあったんですよ。ファイナルシーンがあったんです。撮影した前日に台風が来た余波で波が高くなってたんです。元々そこは波が高い海岸だったので制作部からは撮影はやめてくれって言われてたんですけど。でもどうしてもここでやりたいって無理を言ってやったんです。で、船にそもそも乗るのも危すぎて妻夫木君はヘルメットかぶってゴムボートで船のところまで行ってたんですけど、途中さらに波が高くなって危ないからって一度船から役者を降ろしたんです。で、降ろして船を岸に戻そうとしたら波にのまれて船がなくなっちゃったんですよ(笑)あれね、降りる前だったら、たぶん死んでたと思います。

F:妻夫木さんがですね?(笑)

半野監督:はい、妻夫木君とニッキーです。船がなくなったから本当言うとラストカットが撮れなかったんです。

F:そうですよね。最後穏やかな波の海が広がっていくシーンで私、船探しました。

半野監督:でしょ?(笑)本当はあそこに2人が乗ってて亡くなった女性の横に横たわる牧野がいて、その上をカメラが通過して大海原ってシーンだったんですけど、本当に2人ともいなくなっちゃたんで(笑)

F:どうしても回収癖があるので、探してしまうんですよねぇ。いなかったんですね。

半野監督:そうなんです、そのままだと意味わかんないでしょ?あのカットの(笑)

F:いや、きっと何かの意図があるんだろうと思ってました。

半野監督:だからカットを変えて、山からずっとパンするってカットに変えたんです。要は何をしたかったかというと、あそこに民族音楽入るじゃないですか?あれって台湾に中華民族が侵入してくる前の現地の音楽なんです。僕は台湾の島そのものが持ってる声としてあの民族の歌を使いたかったんです。あの浜辺で起こってた事を台湾という島がずーっと見ていたって物語なんだと感じたんです。だから頭とお尻にこの音楽を入れたんです。

F:そうですよね!冒頭の曲もそうですよね!

半野監督:それに説明というか、ナレーション?モノローグを入れようという説もあったんですけど、もうそれも辞めようぜって(笑)

 

<あの歌声は>

F:花連のバイクと自転車が並走するシーンがすごく好きなんです。濡れた道路が見えて登場人物より先に音楽が聞こえてきて。あの音楽が聞こえた瞬間胸がヒョンとなるような。表現が難しいんですがその音楽と空気感がすごく好きなんです。中国語ではなく英語だという所も好きです。

半野監督:あれ、僕が作って。実は僕が歌ってるんですよ。

F:えぇ!知りませんでした!

半野監督:あれ、実は、この映画のために作った曲じゃなかったんですよ。他の映画のために作ったけど使わなくてほったらかしてたんです。撮影した後に何となくつけてみたらすごく合って。あーそうか、こういう事が俺、このシーンでしたかったんだなぁってクリアになって、そのまま使ったってぐらいの事なんです。本当深い意味はなくて。でも、そういう事の方が・・・なんというのかな、手に入れようとして手に入れれるものじゃないと思うんです。そういう偶然も当然この映画の引力なので、それも引き入れていこうって事で。最終的にあそこは僕にとっては思い入れのあるシーンだったので良くなって嬉しいんですが・・・。

F:が?

半野監督:本当いうとちょっと嫌だったのは、これ自分で歌っててさ?この監督そんなに自分好きなの?って思われるのが一番嫌だったっていうか(笑)だからなるべくあそこ僕だって言わないようにしてるんですけど。

F:(笑)これ書いていいんですか?

半野監督:いいですよ(笑)

(再来一碗!③に続く)

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