第20回釜山国際映画祭『Korean Cinema Today』パノラマ部門
キム・ギドク監督作品『STOP』出演!中江翼単独インタビュー!

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(L→R)キム・キドク監督、中江翼さん、堀夏子さん、武田裕光さん、合アレンさん©F.A.E.P.

10月1日から10日まで開かれた第20回釜山国際映画祭の『Korean Cinema Today(コリアン・シネマ・トゥデイ)』のパノラマ部門にて上映された韓国のキム・ギドク監督作品『STOP(ストップ)(原題)』の最初の舞台挨拶と観客との対話が2日午後行われ、キム・ギドク監督をはじめ主演の中江翼さん、堀夏子さん、武田裕光さん、合アレンさんが会場を訪れました。試写会後の舞台挨拶で中江翼は韓国語、中国語、英語、日本語と4ヶ国語で挨拶、他の出演者も韓国語で挨拶し、会場を盛り上げていました。その後観客からのQ&Aの時間では数多くの質問が送られ、映画に対する観客たちの関心の高さを伺わせていました。

その『STOP』で主演を演じた中江翼さんの舞台挨拶後のインタビューの様子をお届けします。

IMG_8306-5©F.A.E.P.

―この釜山国際映画祭がカンヌ国際映画祭、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭、サハリン国際映画祭につづいての作品参加となりました。 韓国で今回初めてレッドカーペットを踏まれましたがその時のお気持ちはいかがですか?

はい、僕はスケジュールの関係で他の映画祭には行けなかったので今回が初めてになりますが、とても興奮しましたね(笑)なかなか経験できるものではないと思うし、僕が俳優を始めたのが21歳の時でもう9年経ちますが、あのレッドカーペットを歩かせて頂いたことにとても感謝しています。

―爽やかなトレンディドラマなどに出演されそうな雰囲気をお持ちなんですが、独特な深い内容を持つキム・ギドク監督の作品に出演されようと決めたきっかけは何でしたか?

まず日本人にとってあの震災と原発の事故というのは、たとえ時が何十年、何百年経っても絶対に消えない歴史であって、日本人が忘れてはいけないことだと思うんですよね。あの当時僕は日本から台湾に帰る途中の飛行機の中にいたんですが、台湾に着いてエージェントから日本で地震があったことを聞かされました。最初はぜんぜん情報がわからなかったし、日本を発つ前に余震があったことを思いだしましたがその時は大したことはなかったよという話をしていました。でも台湾の家に帰ってNHKを見た時に津波や地震の映像が出て、その壮絶さや悲惨さを画面を通して目の当たりにしたんです。その後震災の復興や日本のために何かできることはないかと思っていましたが、やはり僕は俳優の仕事をしているので、僕の仕事を通して社会貢献であったり、今の日本だけでなくて世界に向けて発信できる機会がほしいなとずっと思っていたんです。僕は日本のそういった事実や歴史などを伝える手段は演劇だと思っているんです。なぜかというとたとえば100年後、あの震災をテーマにして舞台をするとして、俳優が舞台で本当にその震災のことを感じると見ている観客はその歴史を情報でなく心で感じることができると思うんですよね。それが演劇の凄さだと思っているし、そういった形で伝えていきたいなということは凄くあったので、今回キム・キドク監督からこういったテーマを扱うとお話をいただいた時に悩むということは一切なく、是非やらせてくださいという気持ちでさせていただきました。

IMG_8325-3―キム・ギドクさんの作品はよくご覧になっていらっしゃいましたか?

はい、もちろんです。

―映画を先ほど拝見させていただきましたが、最初から最後まで強い感情を表現する演技をされますが、始めのほうから後半に向けてどのように演じようとされましたか?

まず撮影に入る前日に福島に向かったんですが、その時はまだ役が決まっていませんでした。主役を演じるかどうかもわからなかったし、キム監督のほうで何人かキャスティングの候補がいたので次の日に話し合うということになっていました。その前に時間があるうちにと思って福島に行ってきました。そこで現地の人の話を聞いたり、壊れた建物など実際目の当たりにして、その当時で既に3年以上経っていたんですがまだこのような状況なのだから地震の当日はもっとひどかったんだということを考えたり、亡くなった方々の数やその身内や友人などかなり多くの人たちが関わっている問題だし、そういった人たちの気持ちを一身に背負って演じなければならないなということを心がけましたね。

―サハリン国際映画祭では見事な着物姿を披露されていた同じく主演の堀夏子さんですが、今日も着物を着て舞台挨拶に参加されていましたね。主演のお二人の撮影秘話などありましたら教えてください。

堀さんとはキム監督と初めて会う時に一緒にお会いして、その後撮影前までに堀さんとの二人のシーンが結構あるのでいろいろな話をしました。そういった時間は演技には一見関係のないように見えるんですが、二人で話をしたり、お茶を飲んだりというのは僕たちが夫婦という関係性を演じる上では必要なことで、それが画面に出てくるのでできるだけ一緒に時間を共有したいなと思いました。

―撮影しながら難しかった部分というのはどういったところでしたか?

僕は韓国語ができないんですが、通訳さんを通してお話したり、通訳さんがいないときはキム監督とボディランゲージや英語や翻訳機を使ったりして常に話し合いをしました。そういった部分は少し大変でしたね。

―今回完成された映画をご覧になっての感想はいかがでしたか?

逆にご覧になっていかがでしたか?

―自分もその時福島にいて、子供がいたらどうしただろうかと考えさせられましたね。

そうですね。それがたぶんこの映画のポイントの一つだと思いますね。考えさせたり、終わった後に何か少しでも考えてくれる時間も持ってくださるというのは僕たちにとっては凄く嬉しいことですね。映画は今回90分くらいでしたが、その見てくれている時間を僕たちが頂いているわけですよね。更に帰った後で時間を使って頂いてそのことについて考えてくださるというのは嬉しいですね。

―それが狙いということですね。映画を見てしっかり考えさせられました・・

それは良かったです。

―今回映画をご覧になった観客の中には映画を専攻されている学生さんたちも多かったようですが、ご覧になった観客の皆さんの反応を見てどう思われましたか?

皆さんちゃんと見てくださっているなというのを感じましたし、やはりその後の質問でもちゃんと見ているからこそ質問をして下さっているんだなと思うものが多かったので、それは嬉しかったですね。

―今後日本や世界各地でも公開されるわけですが、ご覧になる方々にどのように感じてほしいと思いますか?

たとえばこの映画を見て、僕は原発反対だとか賛成だというものではなく、同じ地球に住んでいてそういったことを知らずに生きるというよりも、映画など何かしらの形を通してこういった現実もあるということを知っていただきたいなと思います。未来はどうなるか分からないけれどもこういった可能性があるという問題定義をした中で、それぞれみんなが考えていって、今あるものが当たり前だと思わないでほしいと思いますね。今凄く便利な世の中であって、便利すぎてしまうことがあると思うんです。必要以上にそれに慣れてしまうと、人の欲はどんどん出てくるものですから、今ある問題や過去にあったことを知らないままこの先何百年生きていくと、また同じようなことが起こってしまうかもしれないということを皆さんどこかで感じてもらえたら未来は変わっていくんじゃないかなと思いますね。

IMG_8319-3―今後どのような作品に挑戦してみたいですか?

監督なり脚本家なり、舞台でもそうですが演出家が何を伝えたいのか、何をこの世界に作品を通して発信していきたいのかというのが明確にあるかどうかということと、その内容に僕が賛成できるかどうかということ、僕が俳優として役に立てれるのかどうかということだと思うんですね。何も伝えたいことがない、ただ出演してエンターテイメントとして最終的にお金を回収したいというだけが目的だと僕がやっていきたい俳優の道とは違うなと思うんですね。僕の中で演劇とは社会貢献であって教育であるというのは強く思っていて、そういった部分が作品の中に少しでもあれば身を犠牲にしてでも参加させていただきたいなと思っています。

―メッセージ性のある作品のお話が来たときには是非されたいということですね。それはテレビ番組や演劇などジャンルに関係なくということでしょうか?

はい、もちろんですね。演ずることを通して微力ながらも世の中に何かいい形で影響を与えていければ幸せだなと思います。


―今後のスケジュールについて教えていただけますか?

今年の年末に舞台の演出をすることになっていまして、来年台湾のドラマの出演予定があります。

―台湾に長くいらっしゃいましたが、演じる上で台湾の生活がどのように影響されたと思いますか?

まずどんな現場でもやっていけるという生命力の強さ?(笑)を身に着けたと思いますね。異国で生活するって大変じゃないですか?その中で他の語学を使って仕事をするというのは並大抵のことではないと思います。そのエネルギーとか能力とか考え方とか。そういった面で台湾を経験してよかったと思います。

―台湾の現場はまた違ったものを感じますか?

そうですね。各国違いはありますね。考え方も違いますし。ただ何が良い、悪いというのではなくて、最終的には思いが人を動かすと思っています。それに今回のキム監督の作品というのは彼が一人で日本に来て(映画を撮影するための)全部の行動を起こしているわけですから、外国に行って一人でそれを成し遂げて最後まで終わらせて、しかも上映してこういった形を残せるというのは、本当に凄いエネルギーだと思うんです。そういった点は本当に見習っていきたいし、勉強させていただきたいなと思いました。今回一緒にお仕事ができてとても光栄でした。

―最後に映画をご覧頂く方たちのためにメッセージをお願いします。

キム・ギドク監督の作品ということでとても良い作品に仕上がっていると思います。彼が一人で異国の地で現地の俳優を使って映画を一本作ったということは、凄く歴史に残る作品になったと思います。この題材も日本にとってとても意味のあるものだと思うので、皆さん期待してご覧になってください。僕もがんばって演じさせていただきましたので、何かあれば僕にメッセージを下されば拝見させていただき、勉強させていただきます。今後ともよろしくお願いします!

(文:Hiromi.H)

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©F.A.E.P.

◆第20回釜山国際映画祭 http://www.biff.kr/structure/kor/

◆アジアを駆け巡る俳優:中江 翼◇単独インタビュー! http://faep-jp.com/?p=10547

 

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